起源と歴史
アルザスのワイン造りはローマ時代に遡り、中世にはフランスとドイツの文化的交差点として独自のワイン文化を発展させた。ドイツとフランスの間で何度も領有権が変わった歴史が、アルザスワインの独特なアイデンティティを形成した。1962年のグラン・クリュ制度導入と2011年の51グラン・クリュの最終確定により、テロワール表現の多様性が公式に認められた。フランスで唯一、品種名をラベルに表記する産地である。
テロワールと気候
アルザスはヴォージュ山脈の東斜面に位置し、山脈が大西洋からの雨雲を遮るため、フランスで最も乾燥した産地のひとつである。年間降水量はわずか500mm前後に過ぎない。土壌の多様性は驚異的であり、花崗岩、片岩、石灰岩、砂岩、火山岩、泥灰岩、黄土など13種以上の地質タイプが確認されている。この地質学的多様性が、51のグラン・クリュそれぞれに独自の個性を与えている。
主要なアペラシオン
アルザスAOCが基本的な呼称であり、4つの高貴な品種(リースリング、ゲヴュルツトラミネール、ピノ・グリ、ミュスカ)を中心に造られる。アルザス・グラン・クリュAOCは51の特定畑からの最高品質ワインを表す。ヴァンダンジュ・タルディヴ(遅摘み)とセレクション・ド・グラン・ノーブル(貴腐選果)は甘口の最高カテゴリーである。クレマン・ダルザスは瓶内二次発酵によるスパークリングワインである。
代表的なワイン
- トリンバック クロ・サント・ユヌ — 辛口リースリングの金字塔
- ツィント・フンブレヒト ランゲン・グラン・クリュ — ビオディナミの至宝
- マルセル・ダイス マンブール — テロワール重視のグラン・クリュ
- ヴァインバック シュロスベルグ — アルザスの歴史的グラン・クリュ