起源と歴史
マルベックはフランス南西部カオール地方を原産とし、そこでは「コット」の名前で何世紀にもわたって栽培されてきた。中世にはボルドーのブレンド品種としても重要な役割を果たしていたが、1956年の大霜害でフランスの畑の大部分が壊滅し、ボルドーでの栽培は激減した。しかし、19世紀にアルゼンチンに持ち込まれたマルベックは、メンドーサの高標高の環境で驚くべき変貌を遂げ、アルゼンチンを代表する品種として世界的な名声を獲得した。
栽培地域
アルゼンチンのメンドーサが世界のマルベックの首都であり、特にルハン・デ・クーヨとウコ・ヴァレーの標高900〜1,500メートルの畑が最高品質のワインを生む。標高が高いほど紫外線が強くなり、果皮が厚くなって色と風味の凝縮度が増す。サルタ州のカファヤテは標高1,700メートルを超える世界最高所のブドウ畑のひとつを持つ。フランスのカオールでは「ブラックワイン」として知られる濃厚でタンニックなスタイルが伝統的に造られている。チリやオーストラリアでも小規模な栽培がある。
ワインの特徴
マルベックは非常に深い紫がかった黒色のワインを生む。香りにはブラックベリー、ブルーベリー、プラム、スミレの豊かな果実香が広がり、チョコレート、コーヒー、スパイスのニュアンスが加わる。口中では中程度からしっかりとしたタンニン、丸みのある質感、そしてベルベットのような口当たりが特徴である。アルゼンチンのマルベックは果実味が前面に出るスタイルが多く、カオールのものはよりタンニックで構造的な傾向がある。高標高のワインは特に色が濃く、フローラルな芳香が際立つ。
料理との相性
マルベックの豊かな果実味と柔らかなタンニンは、アルゼンチンの肉文化と完璧にマッチする。アサード(アルゼンチン風バーベキュー)は定番中の定番であり、特にリブアイやフランクステーキとの相性が抜群である。エンパナーダ、チョリパン(チョリソサンドイッチ)、プロヴォレータ(グリルチーズ)も素晴らしいペアリングである。スパイスの効いたメキシコ料理やインド料理ともよく合う。
注目のワイン
- カテナ・サパータ アドリアンナ・ヴィンヤード (メンドーサ) — 高標高マルベックの頂点
- アチャヴァル・フェレール フィンカ・アルタミラ (メンドーサ) — 単一畑の卓越
- シャトー・ラグレゼット (カオール、フランス) — カオールの伝統的表現
- テラザス・デ・ロス・アンデス レセルヴァ (メンドーサ) — 高品質な入門マルベック