起源と歴史
ムールヴェードル(スペインではモナストレル)はスペインのカタルーニャ地方を原産とし、その名前はバレンシア近郊のムルビエドロ(現在のサグント)に由来するとされる。中世にスペインから南フランスに伝わり、プロヴァンスとラングドックで広く栽培されるようになった。フィロキセラ禍でフランスの畑が大打撃を受けた後、バンドールのアペラシオンがムールヴェードルの品質を守り続けた。グルナッシュ、シラーとのGSMブレンドの一角として、ローヌ南部のワインに不可欠な存在である。
栽培地域
プロヴァンスのバンドールが、ムールヴェードル単一品種ワインの最高峰として世界的に認められている。ここでは最低50%のムールヴェードルが義務付けられている。シャトーヌフ・デュ・パプやジゴンダスではブレンド品種として重要な役割を果たす。スペインのフミーリャ、イエクラ、アリカンテでモナストレルとして大量に栽培されている。オーストラリアのマクラーレン・ヴェイルとバロッサ・ヴァレー、カリフォルニアのパソ・ロブレスでも栽培されている。
ワインの特徴
ムールヴェードルは非常に深い黒紫色のワインを生む。香りにはブラックベリー、ブルーベリー、ブラックプラムの黒系果実に加え、ジビエ肉、ガリーグ(タイム、ローズマリー、ラベンダー)、レザー、黒胡椒の野性的で力強いアロマが広がる。口中では重厚なタンニン、しっかりとした構造、そして長い余韻が特徴である。若いうちは厳しく閉じている場合があるが、熟成とともに驚くべき複雑さとしなやかさが現れる。バンドールの最良品は10年以上の熟成を要する。
料理との相性
ムールヴェードルの力強い個性は、プロヴァンスの豊かな料理とよく合う。ドーブ・プロヴァンサル(プロヴァンス風牛肉の煮込み)、ラムのローストにハーブ・ド・プロヴァンス、グリルしたジビエ肉が理想的なパートナーである。ラタトゥイユ、タプナード(オリーブペースト)、ブイヤベースとも好相性である。熟成したチーズ——特にバノンやオッソー・イラティ——との組み合わせも推奨される。
注目のワイン
- ドメーヌ・タンピエ カバッソウ (バンドール) — バンドールのムールヴェードルの頂点
- シャトー・プラドー (バンドール) — 伝統的スタイルの極致
- シャトー・ド・ピバルノン (バンドール) — 独自の石灰岩テロワール
- ファン・ファミリー ムールヴェードル (マクラーレン・ヴェイル) — オーストラリアの優れた表現